In vivo activation of the p53 pathway by small-molecule antagonists of MDM2
Science 2004 Feb 6;303(5659):844-8. Epub 2004 Jan 02
一部では熱い p53-MDM2 絡みのお話.さすが Roche.p53 は MDM2 の発現を upregulate し,MDM2 と結合することで核外に輸送され,最終的には分解される.つまり,p53 は MDM2 によって feedback loop 的に発現量が調節されている.そして,MDM2 は malignant tissues で高発現していることが知られている.だから,p53 と MDM2 の結合を阻害することで p53 に気合を入れ直す抗癌剤が期待できる.このメカで効く抗癌剤は今のところ,まだない.彼らは,その結合を阻害する化合物(Nutlin) を見出し,MDM2-p53 に関してイロイロ調べている.Fig 2. が肝で,基本的には,

  • Nutlin 投与で p53タンパク量が増える
  • Nutlin 投与で p53遺伝子転写量は増えない
  • Nutlin 投与で p53の活性(downstream にある p21 の転写量で測定)が増える
  • Nutlin 投与で proliferation 能は落ちる(つまり抗癌剤っぽい)
  • genotoxic に対する反応として p53タンパク量が増えているわけではない

ということになっている.つまり,Nutlin は MDM2-p53 結合を阻害することで,p53 degradation を阻害するらしい.

アレイ系の一般プレゼン資料として

Nutlin 投与で p53 タンパク量は増えるが遺伝子転写量は増えていない

というトコロが使えると思った.